a spring day




君と過ごす、十六回目の春。
物心ついた時から今日まで、いつも君が側に居て。


令は縁側でうたた寝をする『彼女』を見つめていた。
倒れないように隣に座り、『彼女』の体を支える。


季節は春。
今日は良い天気だ。
『彼女』を誘って外に出かけようか?
いや、今日はもう少しこのままで。
もう少し、『彼女』の隣で。


『彼女』が身じろぎした。
目を覚ましたのかと思ったが、違った。
『彼女』は未だ眠っている。
幸せそうな顔をして。
美しい夢でも見ているかのように。


令は自分に寄りかかる心地良い重みを感じていた。
自分も『彼女』に体を預ける。
目を閉じた。
体一杯にうららかな日差しが降り注ぐ。
良い夢が見れそうだ。



願わくば、『彼女』と同じ夢を。



君はまるで空気のような存在で。
身近に居るのが自然な事で、居ないと胸が苦しくなる。
君と過ごす、十六回目の春。
来年も、再来年も。
ずっとずっと、君と過ごせたら。




あとがき


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