軋む階段を上って扉を開けると、聖と江利子が顔を突き合わせて何かやっていた。
「だから、こうなるの。分かった?」
「う〜〜」
教科書やらノートやらが散らかっている。勉強しているようだ。
それも、聖が江利子に教わっている。
珍しい。
聖は普段、授業以外で誰かに勉強を教わったりはしないのに。
・・・・・それにしても。さっきの聖の唸り声は本当に切羽詰っていた。
「何の教科?」
近づきながら私は聞いた。
「現文」
広げたプリントから目線を上げずに聖が答える。江利子が苦笑いしながら教えてくれた。
「今日の現文の時間、ずっと寝てたんですって。
運がいいのか悪いのか、誰にも起こされることなく」
ああ、だから江利子に教わっていたのか。
確か現文は江利子のクラスが一番進んでいたはずだ。
「言葉の解釈なんて人それぞれでしょう?だから物語は嫌いなんだ・・・」
動きの止まったシャーペンの先には、筆者の心情を何文字以内で表せという問題。
確かに、聖の言うことも一理ある。でも、そんなことを言っていたらきりがない。
文章の横にラインが引かれ、その前後にある言葉が丸で囲まれている。
聖がつけたのか江利子がつけたのか。
「それ、提出するの?」
「うん、明日」
終わりそう?と訊きかけて、やめた。
お茶を淹れよう。本当はミルクホールでパックのジュースを買ってきたいところだが。
他の人たちが来るまで、後十分くらいしかない。
今この様子は、ありふれているのにどこか懐かしい。
============ ―――なんだ、私、まともな話も書けるんじゃん(笑)
話の余韻を重んじないやつですいません。
テーマはタイトルの通り『休み時間』。思い出してみて下さい。宿題が終わらなくて(やってなくて)提出時間ぎりぎりまでクラスメイトとひぃひぃ言っていた頃を。
・・・え?そんな想い出はない?そうか、私だけか・・・。いや、でも私だってちゃんと提出物は出してました。たまに写してたりしてたけど(汗)
書きたかったのはそういう三人。でもリリアンじゃこんな光景はありふれてなさそうだなぁ。